本来、日本の家屋は高温多湿の気候に合わせ、自然や四季との調和を考えた知恵の結集でした。床下に注目してみると高さを十分にとり、現在のような布基礎に囲まれることのない開放的なつくりでした。その結果、四季を通じて自然の風が床下に取り込まれ、木材にとっても良好な環境が保たれていたのです。
しかしながら現代住宅は気密性・断熱性に優れていますが、一方で床下をみますと湿気も多く建築材も湿気に侵されている場合も多いのです。床下には大事な基礎等がありますが劣化しているケースもありますので十分注意が必要です。
『床下にとって湿気は危険信号』
現在の住まいの床下は基礎に囲まれ、風が通りにくく湿気が停滞しやすい構造といえます。普段見ることのない床下は約3年から5年程で水回りの床下や温度差による結露などから湿気を生み、カビや木材腐朽菌さらにはシロアリ・ダニや不快害虫までも繁殖するケースが多く報告されています。
畳や床にあがってきたダニの死がい・糞を吸うと抵抗力のない赤ちゃんやお年寄りには大きな負荷になります。
また、カビや木材腐朽菌及びシロアリは建物自体の強度劣化の原因でもあります。湿気を含んだ木材というのは耐震性も弱まります。水分を多く含むと木材が柔らかくなりちょっとしたショックで大きく変形するのです。
阪神大震災では、シロアリ・腐朽の被害がある家屋のうち、約9割が全壊したという報告があります(1995年4月/朝日新聞)。
このような状態になる前に床下環境の改善をすることで、建物をいつまでも健全な状態に保つことはとても重要なのです。
床下環境を改善することで下記の効果を発揮します
-
カビや木材腐朽菌、不快害虫の発生を制御
住まいの大敵「湿気・結露」は床下にダニ・カビ・腐朽菌やシロアリなどの害虫を発生させます。キッチンや洗面所などの水回りの床下は特に湿気が多くカビや腐朽菌の温床といわれています。
床下環境を改善することでカビ・腐朽菌やシロアリなどの不快害虫を制御します。 -
建物の耐久性を向上させ強度を保つ
床下の湿気によって床下木部の含水率が高くなると、土台の強度までも劣化させます。
床下環境を改善することで湿気の原因となる結露の発生を低下させ、建物の耐久性を向上させます。 -
家族の健康に役立ちます
住まいの換気不足による家族の健康への影響が心配されています。
シックハウス症候群やアトピー性皮膚炎など様々の病気の原因はなんと屋内に発生したダニやカビなど、また建物の合板接着剤に含まれるホルムアルデヒド・VOCだと言われています。
抵抗力のある大人といえども油断はできません。
こうした病気から家族を守るためにも屋内の換気とあわせてダニやカビの制御、化学物質を屋外へ排出する為に床下の環境改善が不可欠です。
床下環境を改善するには?
-
床下換気システム
床下には床下換気口がついていますが、思っているほど床下の空気は移動しません。当然そこに湿気もたまってきます。
湿気を含むよどんだ空気を強力に撹拌・拡散・排気することで、空気の流れを活発にし通風条件を改善(湿気・結露を制御)します。
床下全体くまなく通風されると床下は強度が上がっていきます。またシロアリは動く空気を嫌いますので空気を活発に動かすことも大事です。
調湿剤と併用すればより一層の効果を得ることができます。 -
床下調湿剤
床下に調湿剤を敷くことで湿気の吸着→乾燥した空気を排出し除湿・調湿します。
まさに呼吸をするようなイメージで水分を除去した空気を繰り返し放出する。半永久的に入れ替えすることはありません。
床下換気システムと併用すればより一層の効果を得ることができます。
高温多湿な日本と床下の風通し
世界をみましても、これだけ雨が降って湿気が多いのは日本だけです。
また地震がこんなに多いのも日本だけです。
昔の日本人は高温多湿の気候に対していろいろな工夫をしてきました。
着物も体全体に空気が通るように考えられていますし、
建築では神社仏閣などの高床式で床下の風通しは十分考慮されていたのです。
そう考えると、建物を支える床下の風通しを良好にさせ、
乾燥した床下にすることは耐震対策にもつながるとても大切なことであることがわかります。